旧い日本家屋の二階に上がると、
そこには、大きな仏壇があった。
開かずの間のように、
普段はその部屋に上がることすら禁句(タブー)にされている。
しかし、僕にとってそこは、
先祖の人たちと交わえる神聖な場所に違いない。
どことなく、
亡くなった母方の祖父母の家と印象とだぶる。
今日は、本当は僕が「唄い手」になりたかったことを、
祖先に報告しに来たのだ。
開かずの間の、それも仏壇の前で唄うとは、
不謹慎極まりない。
それでも僕は、ちゃんと「唄い手」になれたということを、
今、どうしても証明しておきたいという衝動に駆られていた。
大きく息を吸い、そして、精一杯声を張り上げる。
。。。声が出ない!!
魂を込めて、声を絞り出すように唄う。
祖先達の冷笑している様子が判る。
クソゥ! クソゥ 。。。
「プッ!!」隣で妻が笑っている。
妻「今もしかして、唄っていた?」
僕「。。。。。うん。」
妻「何か“ウォー!!”って叫んだかと想ったら、その後モグモグしているから、何の寝言かと想ったら。。。やっぱり、唄ってたんや。」
僕「寝言云ってた?」
妻「うん。あ〜あ、寝ている時に今年一番笑わしてもらえるとは想わへんかったわ。」
愛する妻よ、僕は今、
夢と現実のギャップに、こんなにも無力だ。
posted by 世界くん。 at 00:00| 大阪

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